21世紀の今、少子高齢化や格差の拡大、AIやロボットの飛躍的な進化により、現行の社会保障制度では不十分な点があらわになってきました。

そんな転換期にある社会の中で近年、全ての国民に無条件で一定額の収入を与える制度として「ベーシックインカム」が注目されるようになりました。

一見すると、あまり単純明快な制度すぎて本当に成り立つのか疑問に感じる方も多いかと思いますが、議論されるということはやはり何らかの理由があるからです。

今回は、ベーシックインカムのメリットについて、現在の生活保護・社会保障制度との違いを踏まえながら分かりやすく解説していきます。

ベーシックインカム導入のメリット

セーフティネットの強化

ベーシックインカムは、全ての人に無条件で収入を支給する制度であるため、収入の有無や年齢等にかかわらず、誰もが平等に一定額のお金を得ることができます。

全ての人に平等に支給するというのがポイントであり、皆が受け取るものである以上、生活保護のように特定層への不平不満が集中することはありません。

 

現在の生活保護制度は申請しても必ずしも受給できる保証はないので、本当に必要な人でも受給できず、中には死に至るとケースまで発生しています。

また、生活保護は何だかんだ言って世間体が悪いため、本来、保護の対象となる人でも後ろめたさから受給申請しないという人も少なくありません。

セーフティーネットの漏れを防げるという意味でも、ベーシックインカムの存在意義は大きいと言えます。

 

社会保障制度の簡素化

ベーシックインカムは国民全員に一定のお金を支給するだけなので、業務上の手続きは大幅に簡素化されます。

それに伴い、各制度の申請・受給手続きの対応を行っていた人員や、制度を維持するためのコストを大幅に削減することができます。

 

また、現在の日本社会にある社会保障制度は

  • 国民年金
  • 厚生年金
  • 国民健康保険
  • 介護保険制度
  • 生活保護

などがありますが、どの制度も複雑かつ手続きが面倒です。

筆者である私もそうですが、一般庶民にとってこのような複雑な制度を理解するだけでも大きな負担であり、それだけでも多くの時間を無駄にしています。

そのような複雑な制度の数々がベーシックインカムに統一されれば、社会保障制度がより身近で分かりやすい存在になることも1つのメリットと言えるでしょう。

 

ブラック企業の淘汰

ベーシックインカムは全ての人に無条件で収入が与えるため、例え仕事を辞めて給与収入がゼロになったとしても最低限生活していくことが可能です。

仕事を辞めても生活していけるだけのお金は得られるので、ブラック企業にしがみついてまでも働き続ける必要がなくなります。

ベーシックインカムによりブラック企業は淘汰され、社員を大切に扱う企業のみが生き残るようになり、結果として労働環境の改善にも繋がります。

 

労働意欲の向上

ベーシックインカムの議論の中で「無条件にお金が支給されるなら働かない人が増えるのでは?」という意見もあります。

確かに生きる上で最低限のお金が支給されるなら、今の仕事を辞めようと考える人は一定数出てくることでしょう。

ベーシックインカムの導入後、労働人口は一時的に減るかもしれません。

 

しかし、仕事をしなくても最低限の生活がしていけるということは、自分が本当にやりたい仕事を目指すチャンスを生み出します。

起業したい人や新しいことを始めたい人にとっても現在の生活が脅かされることはないので、積極的にチャレンジすることができるでしょう。

また、今まで生活のためにイヤイヤ仕事してきたのが自己実現のための仕事になることで、結果的に労働意欲や生産の向上にも繋がります。

 

一方、現状の生活保護制度は「働くと受給額が減る」仕組みです。

例え、生活保護を脱却しようと必死に働いても、生活保護を打ち切られて受給額以下の収入ともなれば、労働意欲は失われてしまいます。

「いったん生活保護になると抜け出せない」とよく言われるのはこのためであり、脱却できない以上、受給者の数も増え続ける一方です。

 

まとめ

このようなベーシックインカムには現在の社会保障制度にはない多くのメリットがあり、先々の自動化社会・AI社会には必要不可欠な制度です。

現実的に導入に至るまでに多くの課題があることは事実ですが、現状の社会保障制度もいつまで維持できるか分かりません。

近い将来、私たち一般庶民の生活にかかわる大きな問題なので、日頃から社会保障へのあり方について関心を持っておきたいですね。