「いったん始めた延命治療を途中でやめる事はできるのか?」

延命治療を維持するためにはご家族への負担や金銭的な面からも決して簡単なことではなく、そのような悩みを抱えることは少なくないです。

ましてや「延命治療の中断=患者さんの死亡」となるので、途中でやめる事は困難です。

今回は、いったん始めた延命治療をやめることはできるのか、その延命治療の課題について触れていきます。

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延命治療の中止

延命治療を行っている状態とは、その治療がないと生命を維持できないという状態です。

その治療をいったん始めたという事は、治療をやめれば患者さんは亡くなるという事。

ですから、病院側は延命治療をやめる事にとても慎重です。

実際に、人工呼吸器を使用していた末期がん患者の人工呼吸器を外した医師が殺人罪に問われるというケースも起きています。

家族の意向を汲んで延命治療を中止しても司法の判断では罪と言われかねない、これでは医師が延命治療中止に踏み切れないのも当然ですね。

患者本人が延命治療を望んでいない場合、その意思を尊重するすべはないのか?

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自分が健康で元気な時に延命治療について考えてみた場合、「自分はいざという時に延命治療をしてほしいとは思わないな」と考える人は多いです。

延命治療を受けている状態は、生きているとは言っても装置に繋がれ、自由に動く事はできず、意識すらない状態かもしれません。

そして、その治療の費用や看病が家族に負担になる事を心配する方もたくさんいます。

では一方で、自分の家族が延命治療を受けるような事態になったらと考えた場合はどうでしょうか?

家族としては大変な状況におかれる事になると分かっていても、やはり治療を希望するだろうという方が多いのではないでしょうか。

延命治療を受けないという選択は、患者が亡くなる事を容認する事でもあります。

そんな事は考えられない、生きていてくれさえしたらいいというのが、家族として当然の感情ですよね。

ですが、患者自身が「いざという時延命治療は受けたくない」と言っていたのを分かっているのなら、家族としての感情よりも本人の意思を尊重して延命治療を希望しないという選択ももちろんあります。

多数派の決断ではないかもしれませんが、よく考えた結果の決断・患者本人の希望を分かった上での決断であれば、それは否定されたり責められたりすべきものではありません。

その決定も、もちろん尊重されるべきです。

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いざという時「延命治療を希望しない」という選択、その希望を伝える方法はあるか?

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延命治療をするかしないかという決断を迫られた時に、患者本人が延命治療を希望していないという事をはっきりと証明する方法があります。

それは公証役場で公正証書を作っておく事。

この場合の公正証書は「尊厳死宣言公正証書」と呼ばれます。

尊厳死というのは、自らの生死について自分自身が決断する事が人間の持つ尊厳であるという考え方のもと、治療によって命を長らえる事は希望しないで命を終える事を言います。

尊厳死宣言公正証書は、延命治療を受けなければ死亡してしまうような状況になったとき、治療は希望しない事を公的に証明できる書類です。

自分が元気なうちに公証役場で正式な書類を作り、賛同してくれる家族の名前もその書類に記載して、その原本を公証役場に保管しておく事でいざという時に明確な意志表示として提示する事ができるのです。

多少の費用はかかりますが、準備しておけば自分にとって望まない治療を長く受ける事もなく、家族の負担も減らせますね。

尊厳死宣言公正証書には法的な拘束力は無い

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書類自体は公的に証明されたものである「尊厳死宣言公正証書」ですが、実は法律で「この証書がある場合は尊厳死を認めなくてはいけない」と決められているものではありません。

法律には遺言で意志表示可能な事柄が細かく決まっているのですが、尊厳死についての記述はありません。

ですから、書類としては公的なものに間違いありませんが、医師に「この書類があるんだから延命治療はやめてください」と命令するような拘束力はないのです。

とはいえ、きちんとした形で提示された患者さんのお気持ちですから、多くの場合は受け容れてもらえます。

この書類がある場合は、いざという時に医師に提示し、延命治療は辞退したいとお願いするのが良いでしょう。

家族にとっても、いかに患者さん本人の希望とはいえ辛い決断ですから、尊厳死宣言公正証書を作る場合は家族間でよく話し合い、お互いに理解しあえた上で作成する事が大切です。

 

まとめ:延命治療を途中でやめるのは困難、だからこそ事前の準備が一番大事

このように、いったん延命治療が始まってしまうと、後から治療をやめさせることは非常に困難です。

そのため、できる限り元気な状態の内に、延命治療に対しての意思表示を残しておくことが一番重要なことと言えます。

尊厳死宣言公正証書であれば十分その意思を残すことができるので、後の延命治療に対する負担を少しでも軽減するために、早い段階で意思表示を残しておきたいところです。

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