相続のことでトラブルを引き起こさないために作られる「遺言書」

遺言書は法的拘束力を持ちますが、必要な内容が記載されていなかったり、書き方を間違えたりと、内容によっては無効となる恐れもあります。

 

遺言者が生きている間は間違えても訂正できるので、そこまで問題にはなりませんが、死後に遺言書が無効になると、大きなトラブルを引き起こす原因となります。

今回は、遺言書が無効になってしまう、その原因について解説していきます。

遺言書が無効・取り消しになる原因

法律に定められた規定を守っていない

これは簡単に言うと、記入漏れ、又は遺言書に不備があることです。

日付や署名・捺印が入っていなかったり、自筆遺言証書であるのに自筆ではなくパソコンで作成されたものといった場合、無効化されます。

 

遺言書の最低限の形式である日付、遺言の詳細、氏名に署名・捺印は忘れずに記入する必要があります。

個人で作成できる自筆証書遺言の場合、専門家が内容や不備をチェックすることもないため、特に注意が必要です。

 

遺言書を紛失した又は見つからない場合

自筆証書遺言の場合は証人の立ち会いがなくても作れてしまうので、万が一紛失してしまうと遺言書があることを証明することができません。

そのため、書いたはずの遺言書が見つからない場合、遺言書はなかったことにされます。

遺言書が存在しない場合は民法に基づいた法定相続となってしまいます。

 

一方、公正証書遺言の場合は、原本は公的役場に原則20年間保管されているので、再発行をお願いすることができます。

そのため、確実に遺言書を作成するのであれば、公正証書遺言で作成することをオススメします。

 

夫と妻が共同で1つの遺言書を作った場合

民法では共同遺言の禁止という項目があり、夫婦共同で作成した遺言書は無効となってしまいます。※民法975条

 

夫婦共同の遺言が禁止な理由は主に2つあり、

  • 遺言は本来、他人の意志に左右されずに自由に作成・撤回できるものであり、遺言者が2人以上いると自由な遺言や遺言の撤回が制約されるため
  • 共同遺言者の一方の遺言に違反があり無効化された場合に、もう一方の遺言はどうするのかという問題が起こりうる

といった理由があります。

 

簡単に言ってしまうと、公平性に欠け、遺言の関係がややこしくなるから禁止ということです。

 

何て書いてあるか読めない又は理解できない場合

遺言書に書かれた字があまりに乱れていて、誰も読めないような遺言書の場合は無効となります。

また、その遺言書の内容があまりに不明確だったり、何をどのように相続するのか特定できない場合も無効となります。

 

特に、自筆証書遺言の場合は立ち会い人がいなくても作成が可能なので、的外れなことを書いてしまってもその間違いを発見できない恐れがあります。

 

正常な状態でない時に作成された遺言書

具体的な例としては、その遺言者が認知症や意識障害等を患っており、正常な判断ができる状態ではない時に作られた遺言書です。

遺言書は基本的に代理で作ることはできないために、他人の意志によって代わりに遺言書を作ったとしてもそれは無効となります。

 

例え、納得がいかなくても遺言書の作成時に、本人に遺言能力があったかどうかを判断することは非常に困難であり、裁判沙汰になるケースは少なくありません。

このような事態を避けるためにも遺言書は正常な遺言能力のある元気な時に作成しておくことが極めて重要なのです。

 

まとめ:自筆証書遺言は無効になる危険が高い

遺言書は、遺言者の最後の意志決定を尊重し、後々のトラブルを防ぐために重要なものです。

重要な証拠であるが故に、遺言作成の基準も厳格に規定が定められています。

せっかく苦労して作った遺言書でも、小さなミスで無効となってしまっては意味がありません。

 

そのため、遺言書を残すのならできる限り、信用性や確実性が高く無効となる心配もない公正証書遺言で遺言書を作成するようにしたいです。

いざという時に焦って不備のある遺言書を作ってしまわないように、できる限り早めに遺言書の準備を始めましょう。

少しでも遺言書の理解が深まれば幸いです。